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今年のナラ枯れ被害に思う・・・

 ナラ類を枯らす病原菌(学名:ラファエレア・クエルキボーラ)はカビの一種であり、体長約5ミリの甲虫カシノナガキクイムシがこの菌を枯死木から生存木へと媒介する。カシノナガキクイムシは6月(~8月)に繁殖のためにナラに穿入し、7月(~9月)に木を枯らすと、翌年の6月(~8月)に羽化した新成虫が枯れたナラから飛び出していき付近の健全木に集中穿入する。今年の6月は例年に比べ低温状態が続いたので活動も停滞し、被害量も少ないのでは・・・と予想していたが、ここに来て地域を拡大して枯損被害が確認されている。
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 今年も貴重な広葉樹資源が枯れていく・・・

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 白骨化した過年の枯損木の傍らで今年の枯損被害が発生している・・・ここ数年で森林の受けたダメージは計り知れない・・・
 
 被害発生地の多くは昔の薪炭林,あるいは天然生林と分類されている場所である。薪炭林は20~30年の短い周期で伐採が行われ,萌芽から次の世代が繰り返し育てられてきた。ところが1950年代に燃料革命が起こってガスや 灯油が使われるようになると,薪炭林は利用されず放置されるようになった。そのためカシノナ ガキクイムシの繁殖に最適のサイズの樹木が増えていたのである。また燃料革命以前は,枯死木は燃料として価値があり,放置されずに伐倒して使われた。それでカシノナガキクイムシがうまく駆除され,翌年の被害発生を防ぐことになったと云われている。

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 ナラ枯れという現象は森林の変容を示すほんの一端である。里山二次林だけでなく人工林も含めて,森林資源の管理を怠った場合に,つけを払うのは私達の次世代である。社会として望ましい資源管理ができるように適切に情報を発信し,課題を共有して、地域が一丸となって行動していく必要があるのだと思う・・・
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